<< 夕日と鴨と老人と Health Oriented♪ >>
Incident What Happened Yesterday... 昨日の出来事
e0166336_15464659.jpg
先日の実習の写真ではありませんのでお間違いなく。
長い話になるのでつまらないから、自主練の時のショットでボツにしたものの中から
まぁまぁのものを選んで載せてるだけです。
つまり記事の内容とは全く無関係の写真であることをお断りしておきます。

昨日午後遅く、ヒッキーの私であるにもかかわらず、しかも炎天下をやむを得ない事情にかられて
「仕方ない、行くかぁ!」と自分に気合いを入れて買い物に出かけました。

近所のスーパーで目的をすませて外へ出てみると、中年の女性が歩道に倒れて泣きながら119番していました。



話を聞いてみると、自分が停めた自転車を出そうとした時、隣りに停まっていたバイクのマフラーに脚をついてしまったとのこと。
バイクのマフラーはエンジン停止直後は強烈な熱を持っています。
脚をみると15cm×5cmくらい、真っ赤に皮が剥けていました。

すぐにスーパーに戻りかけて、でも食料品売り場は地下だし、事情を説明する時間も惜しかったので
向かいのコンビニに飛び込んで一番小さい氷を買いました。
e0166336_1552192.jpg
氷を持って戻ると数人が囲んでいましたが、ほとんど全てが中年以上の女性でした。
でもどなたもただ心配そうに見ているだけでした。

私は「今、氷買って来たから、冷やすから、待っててね!」と声をかけ、
バッグの中から普段何かの時の為に入れておいたビニール袋を出しました。
女性は泣きながら「すみません、すみません」と謝っていました。

私が氷を袋に入れているのを見て、何人かの周囲の人の中から
「これで包んで」と今時のクーラータオルを濡らして持って来てくれた人がいました。
そしてそれに包んで患部に当てました。

それで一息ついて周りを見渡すと一人の20代半ばくらいの男の人がぼうぜんと立っていました。
「あなたのバイク?」と聞くと、
「そうですけど、ぼく、なにがなんだか・・・バイク停めて店に入って、戻って来たらこの人が倒れてて。
『あなたのせいでケガしたから、今警察呼んだから!逃げたら許さないからね!!」ってすごい勢いで怒鳴られて・・・」
とおびえた目で訴えました。
e0166336_16311386.jpg

「あなたのせいじゃない。だからまず落ち着いて。でもあなたの持ち物で人がケガをしたのだから、
一応は関係者として最後までここにいて、責任を果たさなきゃね」というと、
「はい、わかってます」と答えました。
逃げられたらまずいな、と思っていたので安心しました。

救急車はなかなか来ませんでした。周囲の人がもう一度連絡すると「玉川署から出た」とのこと。
おいおい・・・すぐ近くに世田谷署があるのになんだよ・・・
その間女性は汗びっしょりかいて泣きながら「痛い!痛い!」と叫び続けています。
炎天下のアスファルトの上に横たわっているのですから、辛いに決まっています。

たまたま変えたばかりのきれいなハンカチを持っていたので汗を拭いてあげて、
「もうすぐ救急車来るから、頑張って!」と声をかけました。

ようやくサイレンの音が聞こえ、周囲の人が「来た!」というので手を握って
「ほら、来ましたよ。もう大丈夫だからね」というと、ぎゅっと手を握り返してきて、
「ありがとうございます、ありがとうございます」と泣きながら叫んでいました。

女性は無事救急車に乗せられ、周囲の人が荷物をまとめてあげたり、
彼女の自転車の鍵をはずしてバッグに入れてあげたり、みんなで身の回りの世話をしました。

氷はもういらなくなったので、買い物の中の、実はちょっと心配だった、
買ったばかりのお肉に当てました(笑)。
e0166336_16314479.jpg

女性は救急車に乗ったけど、警察はまだ来ません。
男の子に「大丈夫よ、ちゃんと最後までいて、警察の人に話してあげるから。」というと、
「何から何まで、本当にすみません」と下を向きました。

彼だって普通に買い物に来て、いつもと同じようにバイクを停めて、買い物が終わったらまた
家に戻るだけのなんでもない日常のはずでした。
青天の霹靂とはこのことでしょう。
なぜそんなにしてくれるの?という目をしたので、まだ当分警察は来そうもなかったから理由を説明しました。
e0166336_16323122.jpg

「実はね、私、何年か前に夜、友達の家にいく為に車で走ってたの。住宅街の普通の路地。
前の信号が青だったからそのまま進もうとしたらいきなり信号無視の50ccが左から突っ込んできて、私の車に追突。
もちろん目の端に入った時に慌ててブレーキを踏んだけど間に合わなかったのね。
それですぐに車を降りて、その50ccの人に大丈夫ですか?って声をかけたらまだ子供だったのね。
すると上半身を起こして『はい・・・』って言うから、安心したら急に怒りが込み上げて、
『ダメじゃないの!信号無視したら!!』って叱ったんだけど、それだけにして、『とりあえず
警察呼ぶから左に寄せて停めなさい。バイク、動かせる?』と聞いたら小さくうなずいたと思ったら、
一瞬私の顔を見て困った顔をして、すぐにバイクに跨がって一気に逃げてしまったの。
余りに突然の、予測不能な行動だったからナンバーも見えなくて。
なので周囲で事の次第を見守っていた数人の人に、『今のバイクのナンバー、覚えてる方いますか?』
と聞いたんだけど、みんな顔を見合わせるだけ。
『じゃあ、これから警察呼ぶのでどなたか証言していただけませんか?』と頼むと、
全員が気まずそうな顔をして、背中を向けて歩いていってしまったの。
e0166336_16325910.jpg

夜だから、もう家に帰るだけでさほど急ぐ事情があるとも思えない時間なのにね。
人間て冷たいな、ってその時思って、自分だけはそういう時にそういう人の役に立てるようになろうって思ったんだ。

警察が来て事情を話すと、『それは恐らく無免許か盗難車でしょう。まぁ、捕まらないでしょうね』って言われたの。
結局減点にはならず、でも事故証明を書いて貰って自分の車は自分で修理しなくてはならなかったのよ。
でもその子も相当なケガをしていたはず。だからその痛みに懲りてもうしなければいいなって思って。

あなたももしこれからそういう場面に遭遇したら、私が今、彼女やあなたにしたことのお返しを
その時困っている人にしてあげてね」

そう言うと、まっすぐに私を見つめて、「はい!必ずそうします!」と答えてくれました。
そんな話をしていたらの〜んびり自転車で、しかもたかが5分の派出所からおまわりさんがやってきました。
通報してから30分は経ってましたね。なにをやってるのかいね。
e0166336_16335677.jpg

おまわりさんには私からも事情を話して、「彼のせいではないから」と念を押し、家路につきました。
彼は何度も私の背中にお礼を言ってくれていました。

私、どうしてそこまでやったのかなって考えましたが、もちろん彼に話した苦い経験のせいもあります。
でもやっぱり震災の事が頭をよぎったからだろうなと思います。
もっとひどい、全身に大ヤケドをした人もたくさんいたでしょう。
中にはそれで命を落とした人もいるかも知れません。
そしてそういう人を助けたくても氷もない、電話が通じなくて救急車も呼べない、
もどかしい想いの人もたくさんいたと思います。

悔しい、悲しい思いをしたそういう人達に比べればなんて小さくて幸せな手助けなんでしょう。
e0166336_16332011.jpg

そろそろ初盆ですね。
そういう命を落とされた方々に、5ヶ月経った今でも私達はあの悲惨さを忘れてないよ、って。
そう思ったからかも知れません。
あんなに暑かったのに、出るのが辛かったのに、帰り道、汗一粒かいていませんでした。

そんなことがあったって、ちょっとお話ししたかったので書きました。
長文、読んでいただきありがとうございました。
[PR]
by ChampagneGold | 2011-08-10 16:40
<< 夕日と鴨と老人と Health Oriented♪ >>